M&Aや業務提携等の取引に際しては、自社の機密事項を取引の相手に開示する必要があります。
このとき、開示された自社のノウハウや顧客情報といった秘匿性の高い情報が悪用されると、自社の社会的信頼が損なわれ、致命的な経営上の損害を受けるおそれがあります。
また、普段から自社の営業上の秘密や顧客情報に触れる従業員による情報漏えいのおそれもあります。
そこで、NDA(秘密保持契約書)を交わし、守秘義務を課すことが求められます。
このページではNDAの重要性・注意点についてご説明いたします。
■NDAとは
NDAとは、開示された会社の秘匿情報について、目的外での使用・第三者への漏えいを禁止し、取引相手の企業や自社従業員に対して守秘義務等を課す契約のことをいいます。
■NDAの重要性
●M&A等の取引に際しては、自社の秘密情報を開示する必要が生じます。
このとき締結されるNDAの重要性は以下の4点にあります。
①まず、開示された情報の中に自社の営業ノウハウなどの模倣が可能なものが含まれている場合、このノウハウの模倣によって、自社の同業競争力が損なわれるおそれがあります。
そのため、NDAを交わし、秘密情報の目的外使用や、守秘義務を課すことは重要といえます。
NDAによって、秘密事項と定められた情報は、「営業の秘密」(不正競争防止法2条1項6号)に該当し、これを使用する行為は同法違反になります。
②次に、開示を受けた他者が、開示された情報を基に営業を行い、自社の将来の利益を損ない、自社に損害が生じるおそれがあります。
そのため、秘密情報の使用を防ぐべく、NDAを交わす必要性があります。
③また、知的財産権の保護のために、NDAは重要になります。
すなわち、特許のような知的財産は、先願主義が採られており、出願が競合した場合、最初に特許の出願をした者に特許権が与えられます。
そのため、自社の未取得の知的財産権を保護するためには、NDAを交わし、相手の出願を禁止する必要性があります。
④最後に、顧客情報などの個人情報が流出すると、社会的信用が損なわれ、回復困難な損害を受けるおそれがあります。
普段から自社の秘密情報に接している従業員や退職従業員についても、守秘義務を課し、秘密情報の私的利用を禁止しなければ、情報が漏えいし、上と同様の損失を受ける恐れがあります。
そのため、従業員との間でNDAを締結することは重要といえます。
■NDAの注意点
NDAを交わす際の注意点は以下の4点にあります。
①NDAを締結する時期
守秘義務・不正利用の禁止は基本的にはさかのぼることができません。また、秘密情報開示後にNDAが不成立に終わった場合、単に自社に上記のような不利益が生じることになります。
そこで、基本的に、秘密情報の開示前にNDAを締結するよう注意が必要です。
②秘密情報の内容を明確に
秘密情報外の情報を不正に利用・第三者に漏えいしたとしても、契約違反にはなりません。
事後のトラブルを避けるために、NDAを交わす際には、秘密情報の内容を明確にしておく必要があります。
③義務違反者に対する処置
NDA上の契約違反に対する処置も、NDAを交わす際に明白にしておく必要があります。具体的には、契約違反に基づく損害賠償請求責任の発生・秘密情報使用に対する差止請求権の発生が考えられます。
④秘密保持期間終了後の対応
秘密保持期間が終了すると、NDA上の義務が消滅するため、秘密情報を開示する側としては期間を長く、逆に、開示される側としては短く設定しようと考えます。
交渉時には、秘密の重要性・秘密を保持する負担・開示される不利益等を考慮して、秘密保持期間を設定します。
そして、契約終了後の情報漏えい・不正利用を防ぐために、秘密情報媒体の返還・廃棄・削除を義務付けることが考えられます。
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守秘義務、秘密保持契約(NDA)に関してお困りの際には、お気軽に弊社までご相談ください。
NDA(秘密保持契約書)の重要性や注意点とは
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